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チェンナイの土地利用
南インド・チェンナイ
 日本の約9倍の国土のインドは、28の州と、7つの連邦直轄地域から構成されている。
この国の南の玄関口、タミル・ナードウ州の州都チェンナイ(旧マドラスが1996年改名)への訪問を要請され、ベルゲンから帰ったばかりの身に鞭打って出かけることにした。
フリー百科事典「ウイキペデイヤ」によると南インドの玄関口、「南アジアのデトロイト」「インドの健康都市」「インド銀行業の首都」などという異名を持つといわれる都市チェンナイ、インド全体の中で5番目の都市との事であるが、事典では600万人強の人口とあるが、地元大臣の話によると今では、国への登録を済ませた人が650万人、実態はその倍だとのこと、昔懐かしい古いタイプの空港に降り立ち、熱帯地方独自のムーとした暑さと、群がる人々のザワメキにさらされながら、ベルゲンとの極端な違いを客観的に受け止めた。今回の訪問が某大臣のゲストとしてということもあり、私服の警察署長などの出迎えを受け出迎えの最新型BMWに乗り込んだ。
車窓越しに見る最近のインド、1973年頃キリマンジェロなど東アフリカの動物保護区計画に参加した帰りボンベイ(現在のムンバイ)に立ち寄って以来だ。
タトといわれるサイドミラーの無い黄色の小型三輪車のタクシー群、自転車、車道を平然と横切る歩行者など混在した空間を斜めに、あるいは急停車など繰り返しながらの走行、さらに多くの車にサイドミラーがないか畳んだ状態、その隙間が出来ないほどの接近運転、このすさまじい状況の中であるがクーラーの効いた車内から見る情景はインドに直接触れた感じがしない。その上案内されたホテルは5つ星、一泊158000円のホテルとの事、市街地の状況とのギャップの大きさに益々矛盾を感じるばかりだ。たまたまジャッキーチェンも同じホテルの宿泊者であった。
現在チェンナイでは、普通の人の給料は月給で3万円から5万円が多いとのことであるが、IT関係者になると大学卒業者で平均12万円から15万円、それも優秀な人になると40万円から50万円のレベルの人も多いと聞いた。
世界的に有名なテクノロジー大学I ITを筆頭に専門の単科大学が多く、I T、電気、携帯、車、関係の企業を積極的に誘致してI Tパークを建設中で、その現場を見るのが今回訪問の主な目的であった。IT産業の成長が著しいチェンナイに、日系企業誘致を進めるためにジャパン・テクノロジー・パークを建設したい。そのためにチェンナイの中心街から54Kmの位置で、新空港が予定されている近くに土地が用意してあるとの事、歴史の古いチェンナイでは、新たな開発は50Km圏外に計画されている。
他方ベンガル湾に面した海岸沿いには、水深15mから20mある港の整備が9箇所準備され、風力発電なども含め電力需要への対応も十分配慮されていることなど、直接大臣から説明を受ける。
インダストリアルパーク内の工場敷地の規模は1000エーカーが基準、既にBMWとDELLは1200エーカー、モトローラとNOKIAは1000エーカー、台湾のFAXKANは2000エーカー、など既に巨大な工場群がダウンタウンの空間と全く異なる形でその姿を見せていた。
急速に外国企業誘致によって外資導入を促進し、経済の循環を順当に作動させるために進出企業に対して、7年間インカムに対し無税、さらに用地費の低減化、エネルギーの供給など各種の具体的な優遇施策が準備されているので、優れた技術保有国として世界に信頼されている日本企業の進出を促したいということであった。短時間の視察であったが、荒廃している大地の土地利用のあり方について、総合環境設景の立場から検討し、今後の環境創造のモデルを提案しなければなるまい。
 旧市街地の街路樹が、人々のオアシスとして強い日差しと排気ガスの充満した環境の中で人々の生活を守っている事実をもっと大切にすべきであるが、巨木が新しい建物建設の犠牲になっていく状況を先ず最初に防止すべきだろう。
by harutokobayashi | 2008-05-05 16:05 | 設景の思想
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