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地域活力
「地域活力源としての公園」
公園管理運営士東北ブロック交流会を、10月25日「国営みちのく杜の湖畔公園」で開催した。国営昭和記念公園、国営滝野すずらん公園、に引き続いて3回目の開催である。
今回は、財団法人日本造園修景協会会員などにも参加を呼びかけていたところから、宮城、山形、神奈川、東京から17名が参加した。10時半から12時まで、宮城大学教授森山雅幸先生に、「景観に配慮した公園管理・デザインについて」と題して講演をしていただいた。
最初公園に関する基本的なキーワード解説、公園タイプ別に都市公園の維持管理、管理運営と、自然公園の自然風景地の保護管理、生態管理、利用増進の運営管理など基礎的な事項を網羅した内容であったが、公園管理とデザインは表裏一体であり、季節ごとに変化する空間、言い換えれば生きている空間のデザインそのものであることもふまえ、両者を切り離して考えるわけにはいかないと強調されたことは大いに共鳴した。
 午後から園内を視察、同じ造園の職能に従事する人たちであるところから、それぞれ公園管理運営の体験談なども交え、身近な植物に触れながら知識の交換が行われた。
一例としては、サツキの手入れの場合、一般的公園では花芽を形成させるように刈り込み時期を決めるが、京都の庭では、緑としてのサツキの刈り込みを目的とするところから花芽が着かないように1年に2度刈りをすること、そのほか樹草の移植時期についても凍結を避けるなど、東北地域に根ざした造園技術の重要性が語られた。
大型造型遊具類については、何回か安全点検によって改善していることが報告された。
ふるさと村では、東北地方の原風景を想起させる民家群の見学に時間がかかった。短時間に東北6県の昔の暮らしを体験・想像することができることは、地域活性化の知恵を探る場として重い意味を持つと考える。われわれの世代では、幼き日に祖父母、両親、兄弟達、近隣の人達と過ごした郷里の原体験を思い起こさせ、改めて日本の民芸力を感じた。
従来でも各地に民家園など設置されているが、見学する人はあまり多くないと聞く、そんな中で、集客力のある多様な空間と同居する大規模公園だからこそ存続できる施設といえるかもしれない。このような地域の歴史的遺産としての民芸遺産を、内包する当公園は、今後、年月を重ねるごとに存在価値を増し、明日の地域活力源を生む核となることだろう。
 現場見学の後、懇談会を開催した。
最初に、当会副会長の北山武征氏よりわれわれの資格制度が生まれた背景について説明をされた後、参加者同士の懇談が行われたが、なぜ公園管理運営士の資格を取得したかの質問には、やはり指定管理者制度が施行されている以上資格がなければビジネス的に不利になると考えた、という意見を前提にしたものが多かった。そのほか
①最近の街路樹をはじめ公園の樹木などの剪定技術がよくなくて景観的に問題が多い、これらの状況に対して、意見するための機会を持つためにも資格が必要であった。
②資格を取得した以上、資格に魅力を感じられるように皆で努力をしなければならない。
③指定管理者制度が施行されているが魅力がない。なぜ魅力がないか各関連団体とも横断的な交流を重ねて良い事例、悪い事例を検証して問題点をアッピールすべきである。
など活発な意見が出た。会を重ねるごとに、都市公園など多様な人が同時に利用できるような公共空間と、指定管理者制度との適合性など、当会として、今後全体的・個別的事例を研究し、わが国の公園管理運営実績から得た成果を、会員同士の交流を通じて学びあい、低炭素社会実現にも先駆的に貢献する資格であることを実証していくことが求められる。
by harutokobayashi | 2008-12-03 21:48 | 設景の思想
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